4/14 僕の家は斎場のそばにあった。
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【過去】
少年時代、斎場のそばのアパートで過ごした。右手の煙突が斎場である。その奥が住んでいたアパート。
屋上には時々、白装束の燃えカスみたいなのが落ちてきた。僕は人を焼く煙の臭いをかぎ分ける事ができる。
なぜか深夜に斎場の明かりがこうこうとついていることがあった。あれはきっと〇〇を△△しているのだと大人たちは噂した。
通学の帰り道、坂道から納棺に来た人が泣いて入って行くのを何度も見た。親戚が多く、移転後の山奥の斎場には何度も行ったが泣いている人を見たことは一度もない。現代の斎場は、すでに日常から切り離された空間だからだろう。
坂道からしゃがんで中を覗くと、骨拾いで残った白骨の仏さまが見えた。骨拾いで残った白骨は集められ、燃え残った遺品と分別される。この分別の作業場も斎場のそばにあった。
書いていて何ともすさまじい住環境だと感じるが、すぐ近くに電車の駅やバス停があり、いくつもの高校の通学路にも近接した日常の風景だった。
友引の日、斎場が休みになると近所の子供たちが場内に入り込みボール遊びをしていた。僕は一度もしたことがない。
この斎場の写真は検索しても出てこなかった。ストリートビューと記憶をもとに、
つげ義春タッチでねじ式の少年を置いて描いてみた。
坂道の左側はほぼ昔のまま残っている。斎場跡は公園になっている。
【生活4/14】
一日、雨。まだ寒い。外出せず。